2021.07.01

ワンポイントレッスン

犬の吠えに耳を傾ける・・・まず”対話”が大切

  • 家の中から外に向かって吠え続けてしまう。敏感に反応する。
  • お散歩中、出会う犬や人、乗り物にいつも吠えてしまう。
  • 常に興奮しやすい状況である。

など、愛犬の”吠える”ことについてのお悩みは大変多いです。

!音量にご注意ください! すれ違うたびに吠えてしまう…

吠えてしまうから、常日頃から飼い主さんは、ご近所やすれ違う人、犬などに対して騒音等のご迷惑を気にして、せっかくの愛犬との楽しいはずの暮らしが辛い状況に陥ってしまっています。お散歩も楽しくなくなってしまいますね。

!音量にご注意ください! 来客のたびに吠えてしまう。インターフォンでは会話できず…

だからといって、決して”しつけ”が間違っているとは限りません。実は吠えなくさせようとするしつけにこそ、無理があり、難しいのです。

言葉が通じにくい・お互い会話ができない犬と人だからこそ、感覚のずれ、意識の違い、明らかな勘違いなどが起こるのです。それゆえに、しつけそのものに無意味なことも生じてしまいます。

だから、一度、”吠えることへのしつけ”自体をやめてみましょう。まずは”対話”する姿勢を愛犬に示してみませんか?

犬の”吠え”は立派な犬の言葉です。言い換えれば、人間の言葉そのものは、犬には訳の分からない言葉として聞こえています。

でも・・・!

「オスワリ」と言えばお座りをしてくれます。「マテ」なら待ってくれるし、「オイデ」なら戻ってきてくれます。それは・・・

その短い言葉によって、そして飼い主さんが示すジェスチャーによって、それぞれに対応する行動が犬の学習によって完成されたコミュニケーションだから。要するに言葉は通じるのです。外国人同士言語が通じなくても、ある短い言葉やジェスチャーと行動が結びつけば、お互いそれとなく理解できて正しい解釈として成立する、なので異国でも何となく生活も仕事も旅行もできる、それと似たようなことですね。

「オスワリ」と言ってお座りの行動を取ったらご褒美がもらえた、そのことが犬にとってはうれしいことなので、「オスワリ」の言葉にはお座りをするという好反応を示すようになるのです。つまり、人間がして欲しい行動を言葉によって示すことができるようになった結果です。

このように、”短い言葉(単語)”によって犬と人とはコミュニケーションが取れます。

ここで大事なのが、” 短い言葉(単語)” 。

人間は表現が豊かなので、ついつい長い会話、たくさんの単語をつなげて言葉を発します。

だから、やって欲しくないことに対して、いくつもの単語、助詞などをつなげて叱ってしまいます。しまいには叱っているときに感情が加わって、怖い表情になって怒ってしまいます。

その叱る、怒るという人間の行動こそが、愛犬のいつでも吠えてしまうという悩みにつながってしまっているケースがほとんどです。

飼い主さんが愛犬に叱ってしまう言葉のよくある例:
「○○(愛犬の名前)、吠えたらダメ!」「どうして吠えるの!やめなさい!」など、これらは人間が人間に対してはとても良く伝わる会話ですが、犬には長すぎて理解しきれず、むしろ一緒に吠えているようにも感じられるかもしれません。

特に、愛犬の名前を入れてしまうと、名前と吠えることが結びついてしまい、名前を呼ばれることが嫌になるなど、余計ややこしいことになります。

だから、飼い主さんの言葉に素直に反応して、さらに一緒に吠えてしまう結果になるのです。つまり、飼い主さんの吠え(騒ぎ)に対して、一緒に吠えてしまう(騒いでしまう)のです。

飼い主さんの忠告が犬にとっては、”警戒しなきゃいけない”、”さらに吠えれば良い”などと勘違いしてしまうのですね。

その結果として、例えば、家の外を人が通って吠えたのを飼い主さんの忠告によって吠えてしまっていたことが、次に同じシチュエーション(人が通る)のたびに吠えなきゃいけないことになる、そしてその後も同じ状況に追い込まれてしまい、延々と吠え続けるという悪循環が発生することになります。決して、”吠え癖”ではなく習慣化された行動です。吠えていること自体は犬にとっては正しい、正常な行動なわけです。

吠えていることに対して飼い主さんがいくら声をかけても意識を向けてくれないのは、対象にとにかく吠えなければいけない状況だから、つまり飼い主さんどころではない危機状態にあるからです。

そんな状態のときに、まず飼い主さんがやるべきことは・・・

  • 吠えているときに、決して愛犬の名前を言わないこと
  • 吠えていることに、直接反応しないこと(叱るなどは言語道断)
  • 吠えていることには適度な無視は必要(すべてに完全無視ではない)
  • 吠えていることに対して無言で対応を試みる(無反応を示しつつ、一緒に見に行く、無言で玄関に向かうなど)
  • 吠えていない瞬間を見計らって、呼びかけてみる(名前ではなく、「おいで」の呼び戻しなど簡単にできるコマンド)
  • 呼びかけの結果、アイコンタクトが取れたり、戻ってきてくれたり、吠え止むなどの好反応があった際には、必ずご褒美で示してあげましょう
  • 即座に吠えることをやめさせようとせず、愛犬のペースに合わせ時間をかけて関係を再構築しよう(下記の動画では、3ヶ月経って素晴らしい成果が見られました)
一番上の動画のワンちゃん。トレーニング開始3か月後、吠え続ける行動に飼い主さんの声にまったく耳を傾けなかった愛犬が、アイコンタクトを始めたくさんのコミュニケーションが取れるようになりました 。

”しつけ”しなきゃ ではなく、愛犬の吠えに耳を傾け、なぜ吠えているのか理由を探り、叱ることよりも対話を試みよう。

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