2020.01.18

ワンポイントレッスン

普段散歩していると、他の犬に吠えかかっていたり、吠えている犬を叱っている飼い主さんをよくみかけます。吠えるのをやめさせようとリードを引っ張っているけれど、後ろ足立ちで興奮しながら吠え、ますますムキになっています。

これらの飼い主さんの行動に対して犬はどう感じるでしょうね?

犬の吠えることは、人間が話すことと同じです。そう、犬も会話をしているのです。吠えることは警戒ばかりではありません。

吠えるのは、警戒以外に警告、要求、呼びかけ、誘い、遊び、興奮などたくさんの意味があります。

しかし、普段から人や犬に吠えやすくなっている(近づくとすぐに吠える)犬の場合は、すでに吠えが強化されてしまっていることが多いので、常に警戒モードなのだと思います。

こんな感じで吠えることが強化されたのではないかと考えます。

飼い主さんは吠えてほしくない、やめさせたいために、「ダメ!」「コラ!」などと叱ったり、リードを引っ張って後退させようとしたりします。

すると、
犬は飼い主さんの声に応答して、さらに吠えます。
犬はリードの引きに反射的に、暴れたり余計に吠えたりします。

飼い主さんの声は、犬にとってはトリガー。一緒に吠えなきゃと思ってしまいます。

リードを引くことは、相手からとにかく遠ざけようとする行為。その相手は自分にとっては脅威である相手だと感じさせてしまいます。

だから、いつまで経っても、人や犬に出会うと吠えてしまうようになるし、ピリピリした表情・誤解を与えるボディランゲージなどによって相手に不快感を与えてしまって逆に吠えかかられ、お互いに吠え合う状況にも陥ります。

このように吠えることが多いのは、実はこれまでの飼い主さんの対処している行動がきっかけになっていることも考えられます。

そして一度根付いてしまって、すぐ吠えてしまうという性格はなかなか直せません。実はこれ、当の犬の方が辛いです。誰に会っても吠えなきゃいけない状態ですから、ストレスですよね。

犬はコミュニケーションを上手に取る動物です。

犬は無用な争いを避ける平和主義な動物です。

だから、相手を知るために近づいてニオイを嗅ぎ(お尻や顔回り、体)、チェックしています。

相手に応じて遊ぼうとプレイバゥしたり、顔をそむける尻尾を巻くなどして関わりを拒否したり、とボディランゲージを示します。

もちろん、吠えて誘ったり警戒もしますが、それらも含めて犬同士の正しい行動・コミュニケーションができます。

お迎えしてから他の犬との出会いや交流が少ない犬は、その社会化不足によって、他の犬を怖がったり、無用に警戒や恐怖を感じて吠えやすくなってしまうことも考えられます。

上手くコミュニケーションを取る、相手の気持ちを読む、相手に気持ちを伝えることができればむやみに吠える必要もなくなるし、世渡りが楽になります。

しかし、お散歩ではなかなかうまくは学べません。リードがある上に飼い主さん主体となりがちなので、犬が犬らしく行動できなくなってしまうからです。

つい他の犬に飛び掛かろうとしたり、吠えたりすることで、危険を感じる飼い主さんはそのまま他の犬との接触を避けようとしてしまいますが、これが犬にとっては吠える・襲うほどに飛び掛かろうとするといった間違った行動を覚えさせてしまっています。

だからこそ、犬が犬らしく行動できるように、社会化や犬同士の対応を学んでみましょう。お近くのドッグトレーナーなど専門家にも訪ねてみてくださいね。

さて、すぐに吠えてしまう犬の飼い主さんには、まずはいますぐに叱ってしまう、すぐにリードを引っ張ってしまうといった行動をきっぱりやめることをお勧めします。無言になって犬への刺激を減らしてみましょう。

リードを引くより、犬に向き合い後退りしながらこちらに来てもらうよう誘いかけてみましょう。

当然、吠えている状態というはそちらへの刺激が大変強いので、その刺激に飼い主さんのほうが負けているため、すぐには飼い主さんの声が入らないかもしれません。が、日々のコツコツの飼い主さんの努力で、吠えることへの刺激よりも飼い主さんの元に行くほうが何倍も楽しい刺激に置き換わります。しばらくは吠えることは許容してあげましょう。

まずはそこから。

吠える要因は他にもあるかもしれません。 吠える要因をしっかり分析し適切なケアをしてあげることで、日々の暮らしに安全と安心をもたらし、家族みんながストレスから解放されると思います。 吠えても良い(言葉として)、吠えなくても安心(吠える必要がない)と犬本来の行動が普通に起こせるよう、愛犬と一緒に見つめ直してみましょう。

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